アドバンス講座〜その7〜散歩でのマテ〜

みなさん、こんにちは。

「マテ」について、まだ少し続きます。今回は、「お散歩でのマテ」についてです。

ここまで、続けて読んでくださったみなさんは、すでにお気づきかもしれないのですが、「マテ」ってかなり奥深いのです。

普通の飼い主さんが思う「犬のマテ」って、

こんな感じだったり、

こんな感じかもしれません(可愛いですけどね💕)。

でも、みなさんはきっとお気づきの通り、「ご飯をマテ」と教えても、役には立ちません。

食べて欲しくなければ、そこに置いておかなければ良いです(蓋を締めておくとか)。逆に「ヨシ」まで食べるのを長時間待つ意味もありません(←この固定観念が、トレーニングを邪魔してしまう場合もあります。ただし、似たような必要なトレーニングはありますので、それはまた別の機会にお話ししましょう)

さらに、これからお話しする、散歩でのマテにおいては、全然役に立ちません。

食べ物を目の前にかざして「マテ✋」ってやっても、実際の場面では使えないのです。

では、散歩で使えるマテについて、お話をしていきましょう。

犬が進行方向を向いている時のマテ

散歩で主に必要になる場面は、例えば、信号待ちの時や、排泄物を拾う時になるかと思います。私個人的には、犬が早足になった時、ちょっと止まってもらいたい時にも使います。

これらに共通しているのは、犬が進行方向を向いているということ。すなわち、飼い主を見ていない状況です。

この時に、手のひらをかざしてマテ✋としても、見てもらうまでに一苦労ですし、食べ物を見せてマテってするにしても、排泄物を拾う時にずっと見せておくのか?というようなことになります。それでも、なんとかできる!ということであれば、良いですが、やりにくそうです。

ちなみに、他犬に遭遇して、吠えたり、突進したりする場合に必要なのは「マテ」ではありません。

リードをうまく利用する

お散歩中のマテは、リードをうまく利用すると良いです。

どのようにするかというと、とても簡単に言うと

「マテ」と言ってから、リードで犬を止める
止まった犬に近づいて、トリーツを提供
「OK」と言って、再度歩き始める

これを続けていくと、「マテ」と聞こえた時点で、犬がスピードを落としたり、止まって、進行方向を見続けているか、こちらを見たりするようになります。

でも、言うのは簡単、やると難しいのが、リードの操作。

当然、犬の心身に負荷のかからないように止めなければなりません。

これのヒントになるのが、車の運転の時の「優しいブレーキ」

急ブレーキはダメです。ギアをバックに入れたら、もっとダメです。

ドライブ時の優しいブレーキというのは、止まる衝撃がない止まり方です。

歩いている犬が、ガツンッ!と止まるのも、後方に戻されるのも、やってほしくないリード操作です。

では、優しく止めるにはどうしたら良いでしょうか。

これは、文章で説明するのは難しいところなのですが、頑張って説明するとこんな感じです。

・まず、自分が歩くスピードを落とす(止まるのではない)
・犬が気づかず先へ進む(自分と犬との距離が開く)
・自分と犬との距離の差を埋めるために、腕を伸ばす(肘ではなく、肩甲骨から)。
・腕を伸ばしながら、リードを持っている手に力を入れ、握り、本格的なブレーキをかける。
・腕の伸びを調整しながら、止まる。
・リードを緩めても、犬が止まっているように、調整する。
・犬が止まったら、トリーツを取りながら犬に近づき、トリーツを提供する
・トリーツを食べ終わったら、 「OK」と言って進む。(この時、アイコンタクトができるとなお良い)

これを実践するとしたら、周りに過度な刺激がなく、犬が落ち着いている時です。
また、これは、犬が飼い主の前を歩いている時を想定したものです。

下記のような場合、

  • 他の犬がいて興奮している
  • 家族が前を歩いていて、早く近づきたい
  • 何かから逃げるようにして進んでいる

このような時は、のんびりと優しいブレーキを心が得ている暇はないので、別の対応が必要です。

ノーリードで逃げ走っていく犬を「マテ」するのは、不可能と思っておいた方が良い

「万が一、リードを離してしまった時のために、マテを教えておきたい」・・・と考える方はあまりいないかもしれないのですが、時々聞かれるので、一応解説しておきます。

例えば、今はあまり見ないですが、プロ野球の乱闘。

このような方々を止めるのも、言葉だけでは止まりません。
言葉のわかる人間も、感情が優位になると、体当たりで抑えないと難しい場面があります。それでも、力加減をしながら、相手に向かっていくのでしょうけれど、言葉だけで止まることは難しいことがあります。

嬉しすぎの場合も同様でしょう。

例えば、この動画では映っていませんが、大興奮の声をあげている方達は、規制ロープがなければ、止まれない方がいるかもしれません。

行先に、興奮を伴うような何かがある場合、声だけで止めるのは難しいことがわかると思います。また、恐怖を感じている場合も同様です。何かを恐れ、逃げていく場合も、声だけで止めるのは、不可能と思った方が良いでしょう。

万が一、強い興奮状態の時に、リードを離してしまった・・・ということが起きたなら、追いかけて、リードを掴むしかありません。

コントロール下にあれば、止まる

例えば、通常のスポーツの試合などでは、審判の笛の音で、走っていても止まることができます。

犬も、自分の体をコントロールして動いている場合には、飼い主の声で止まる可能性が高いです。

例えば、このような時

この場合は、マテではなく、呼び戻しですが、これはすごいですよね。でも、ここまでのことを目指すのは、オリンピックを目指すようなものです。

でも、ボーダーコリーさんなら、簡単に止まるかもしれません。犬種によっても、得意不得意があります。

距離が離れている犬に対して、行動を抑制しようとするのであればマテより、呼び戻しの方が実用的です。

散歩で使えるマテ

散歩で「マテ」を発動するシチュエーションとしては、

  • 犬が早足になってしまって、追いつくの大変な時(一旦、距離を詰めたい時)
  • 排泄物を拾う時
  • 信号待ちの時
  • 信号のない道を渡るために、車の往来を確認する時

などになります。

リードをピンと張って、動かないように固定しておくのではなく、

犬が、自分でその場に止まっている状態を作ること。すなわち、リードが緩んでいても、先に進まない状態。

これが、普段使いのマテになります。

必要に応じて、歩いている犬に「マテ」と声をかけ、立ち止まってもらい、飼い主が必要なことをした後に「OK」と言って、進む。

そんなやりとりができると良いと思います。

ちなみに、私の場合は、信号のない道を渡る際、

「まって」と声をかけ(必要に応じて、リードで軽く止める)、犬が止まり(座る必要はない)、私が犬に近づき、車の往来を確認して、「いいよ〜」と言って、犬と一緒に進みます。(参考までに)

厳しく「マテ!」と言って、犬を止める必要はありません。犬に対して発する言葉も優しくあってほしいと願っています。

「マテ」と言わなくても良い場合もあるかもしれません。でも、「マテ」と言った方が、犬がその後のことを予測できるので、やりやすいと個人的には思っております。

マテについては、以上です。

次回は、呼び戻しについてのお話をしていきたいと思います。

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