みなさん、こんにちは。
「マテ」について、まだ少し続きます。今回は、「お散歩でのマテ」についてです。
ここまで、続けて読んでくださったみなさんは、すでにお気づきかもしれないのですが、「マテ」ってかなり奥深いのです。
普通の飼い主さんが思う「犬のマテ」って、
こんな感じだったり、
こんな感じかもしれません(可愛いですけどね💕)。
でも、みなさんはきっとお気づきの通り、「ご飯をマテ」と教えても、役には立ちません。
食べて欲しくなければ、そこに置いておかなければ良いです(蓋を締めておくとか)。逆に「ヨシ」まで食べるのを長時間待つ意味もありません(←この固定観念が、トレーニングを邪魔してしまう場合もあります。ただし、似たような必要なトレーニングはありますので、それはまた別の機会にお話ししましょう)
さらに、これからお話しする、散歩でのマテにおいては、全然役に立ちません。
食べ物を目の前にかざして「マテ✋」ってやっても、実際の場面では使えないのです。
では、散歩で使えるマテについて、お話をしていきましょう。
犬が進行方向を向いている時のマテ
散歩で主に必要になる場面は、例えば、信号待ちの時や、排泄物を拾う時になるかと思います。私個人的には、犬が早足になった時、ちょっと止まってもらいたい時にも使います。
これらに共通しているのは、犬が進行方向を向いているということ。すなわち、飼い主を見ていない状況です。
この時に、手のひらをかざしてマテ✋としても、見てもらうまでに一苦労ですし、食べ物を見せてマテってするにしても、排泄物を拾う時にずっと見せておくのか?というようなことになります。それでも、なんとかできる!ということであれば、良いですが、やりにくそうです。
ちなみに、他犬に遭遇して、吠えたり、突進したりする場合に必要なのは「マテ」ではありません。
リードをうまく利用する
お散歩中のマテは、リードをうまく利用すると良いです。
どのようにするかというと、とても簡単に言うと
「マテ」と言ってから、リードで犬を止める 止まった犬に近づいて、トリーツを提供 「OK」と言って、再度歩き始める
これを続けていくと、「マテ」と聞こえた時点で、犬がスピードを落としたり、止まって、進行方向を見続けているか、こちらを見たりするようになります。
でも、言うのは簡単、やると難しいのが、リードの操作。
当然、犬の心身に負荷のかからないように止めなければなりません。
これのヒントになるのが、車の運転の時の「優しいブレーキ」。
急ブレーキはダメです。ギアをバックに入れたら、もっとダメです。
ドライブ時の優しいブレーキというのは、止まる衝撃がない止まり方です。
歩いている犬が、ガツンッ!と止まるのも、後方に戻されるのも、やってほしくないリード操作です。
では、優しく止めるにはどうしたら良いでしょうか。
これは、文章で説明するのは難しいところなのですが、頑張って説明するとこんな感じです。
・まず、自分が歩くスピードを落とす(止まるのではない) ・犬が気づかず先へ進む(自分と犬との距離が開く) ・自分と犬との距離の差を埋めるために、腕を伸ばす(肘ではなく、肩甲骨から)。 ・腕を伸ばしながら、リードを持っている手に力を入れ、握り、本格的なブレーキをかける。 ・腕の伸びを調整しながら、止まる。 ・リードを緩めても、犬が止まっているように、調整する。 ・犬が止まったら、トリーツを取りながら犬に近づき、トリーツを提供する ・トリーツを食べ終わったら、 「OK」と言って進む。(この時、アイコンタクトができるとなお良い)
これを実践するとしたら、周りに過度な刺激がなく、犬が落ち着いている時です。
また、これは、犬が飼い主の前を歩いている時を想定したものです。
下記のような場合、
- 他の犬がいて興奮している
- 家族が前を歩いていて、早く近づきたい
- 何かから逃げるようにして進んでいる
このような時は、のんびりと優しいブレーキを心が得ている暇はないので、別の対応が必要です。
ノーリードで逃げ走っていく犬を「マテ」するのは、不可能と思っておいた方が良い
「万が一、リードを離してしまった時のために、マテを教えておきたい」・・・と考える方はあまりいないかもしれないのですが、時々聞かれるので、一応解説しておきます。
例えば、今はあまり見ないですが、プロ野球の乱闘。
このような方々を止めるのも、言葉だけでは止まりません。
言葉のわかる人間も、感情が優位になると、体当たりで抑えないと難しい場面があります。それでも、力加減をしながら、相手に向かっていくのでしょうけれど、言葉だけで止まることは難しいことがあります。
嬉しすぎの場合も同様でしょう。
例えば、この動画では映っていませんが、大興奮の声をあげている方達は、規制ロープがなければ、止まれない方がいるかもしれません。
行先に、興奮を伴うような何かがある場合、声だけで止めるのは難しいことがわかると思います。また、恐怖を感じている場合も同様です。何かを恐れ、逃げていく場合も、声だけで止めるのは、不可能と思った方が良いでしょう。
万が一、強い興奮状態の時に、リードを離してしまった・・・ということが起きたなら、追いかけて、リードを掴むしかありません。
コントロール下にあれば、止まる
例えば、通常のスポーツの試合などでは、審判の笛の音で、走っていても止まることができます。
犬も、自分の体をコントロールして動いている場合には、飼い主の声で止まる可能性が高いです。
例えば、このような時
この場合は、マテではなく、呼び戻しですが、これはすごいですよね。でも、ここまでのことを目指すのは、オリンピックを目指すようなものです。
でも、ボーダーコリーさんなら、簡単に止まるかもしれません。犬種によっても、得意不得意があります。
距離が離れている犬に対して、行動を抑制しようとするのであればマテより、呼び戻しの方が実用的です。
散歩で使えるマテ
散歩で「マテ」を発動するシチュエーションとしては、
- 犬が早足になってしまって、追いつくの大変な時(一旦、距離を詰めたい時)
- 排泄物を拾う時
- 信号待ちの時
- 信号のない道を渡るために、車の往来を確認する時
などになります。
リードをピンと張って、動かないように固定しておくのではなく、
犬が、自分でその場に止まっている状態を作ること。すなわち、リードが緩んでいても、先に進まない状態。
これが、普段使いのマテになります。
必要に応じて、歩いている犬に「マテ」と声をかけ、立ち止まってもらい、飼い主が必要なことをした後に「OK」と言って、進む。
そんなやりとりができると良いと思います。
ちなみに、私の場合は、信号のない道を渡る際、
「まって」と声をかけ(必要に応じて、リードで軽く止める)、犬が止まり(座る必要はない)、私が犬に近づき、車の往来を確認して、「いいよ〜」と言って、犬と一緒に進みます。(参考までに)
厳しく「マテ!」と言って、犬を止める必要はありません。犬に対して発する言葉も優しくあってほしいと願っています。
「マテ」と言わなくても良い場合もあるかもしれません。でも、「マテ」と言った方が、犬がその後のことを予測できるので、やりやすいと個人的には思っております。
マテについては、以上です。
次回は、呼び戻しについてのお話をしていきたいと思います。