倫理について

みなさん、こんにちは。

今回は、先日聴講したセミナーで私が学んだことをシェアします。

講義内容には触れることはできませんので、あくまで私が理解したことになりますが、みなさんが、さまざまな情報に触れる時に、それが愛犬にとって良い情報かどうかを判断する基準となることですので、参考にしていただけたら幸いです。

私が聴講したのは、BAW ACADEMYの斎藤美紀氏が講師を務める「トレーニングの倫理と倫理基準」というセミナーです。

まず、倫理とはなんぞや?というところかもしれませんね。

倫理とは・・・

1.人間生活の秩序つまり人倫の中で踏み行うべき規範の筋道(の立て方)。

2.「倫理学」の略。

Oxford Languages

つまり、それは善いことなのか、正しいことなのか、を判断する基準となるものです。

全ての人が、同じ基準を持つことはありません。また、その場面によって、善い悪いの判断は変化します。

「モラル」とも言い換えることができます。

日本の多くのドッグトレーナーは倫理基準を持っていない

これは、ある意味仕方のないことかもしれません。なぜなら、習う機会がないからです。

ドッグトレーナーになるためにはさまざま道があるのですが、その多くは、高校を卒業してから進学するような専門学校だったり、社会人が通うスクールだったりします。

ドッグトレーニングの手法は学びますが、その手法を選ぶための基準となる倫理については、だれも教えてくれません。

私も、トレーナーとなって、15年経ちますが、7年前にBAW ACADEMYに出会うまでは、考えたこともないことです。

ちなみに私は、嫌悪刺激の使用に関して次のように決めています。

嫌悪刺激の使用する選択肢が、全くないわけではありません。ですが、嫌悪刺激の使用を検討するには、それなりの判断基準を持っている、ということです。(実際には、使う場面はないのですが)

多くのトレーナーは、このような基準を持っていないので、「問題行動を起こす犬には、嫌悪刺激の使用も止むを得ない」と簡単に決定してしまう場合があります。

問題が軽い犬にはトリーツで、深刻な犬には罰を使う・・・というようなトレーナーはたくさんいますが、その時の結果が良ければ、何をしても良いわけではありません。

罰を使うなら、必要最小限に。また、罰を選択するまでに、もっと良い方法があるかどうかを模索する努力が必要です。

そのあたりのことを、きちんと検討しているトレーナーを選びたいところです。

ドッグトレーナーによって目的はさまざま

ドッグトレーナーとして業を営んでいる方の目的はさまざまです。

  • アジリティーなどの競技会で上位を目指すため、または、上位を取りたい犬の飼い主をターゲットとしている
  • 保護犬を救いたい
  • 飼い主の困っていることを解消したい
  • 幸せな犬を増やしたい

など、いろんな思いがあって、その職業を選んでいます。

保護犬を救いたい人の中には、「殺処分か生きるか」という状況を自ら作り出して、犬に対応している方も見受けられます。

気に入ってもらえる犬にならなければ、この子を救えない・・・という思いから、犬に無理難題を押し付けている場合もあります。

気持ちはわかりますが、そのために選択する手法が、犬が崖から落ちないように、首に縄をつけて後ろから引っ張っている・・・というような状況では、犬は落ちても辛いし、支え続けられている状況も辛いわけです。

その方法は、本当に正しいのか、善いことなのか。また、誰にとって、正しいのか、善いことなのかを判断するための基準を持つ必要があります。

かわいそうという気持ち

「かわいそうと思うことはやらない」そういう方は多いです。

逆に「かわいそうと思わないことはやる」ということになります。

人がかわいそうと思うか思わないかで、犬への対応を考えているとしたら、

「かわいそうと思わないことで、犬が苦痛を感じている」

ということに気がつかないまま対応をしているかもしれないということ。

善いか悪いかを判断する基準として、「かわいそうという気持ち」は当てになりません。

客観的な判断力を持ちたいところです。たとえば、心理的な問題なら、ストレスシグナルを見る、身体的な問題であれば、健康診断を受けるなどをして、愛犬の置かれている状況を主観ではなく、客観的に見られるようにしたいです。

良いトレーナー選びのために

もし、お近くのトレーナーに依頼するのであれば、以下の質問をしてみてください。

「犬が望ましくない行動をしたらどうしますか?」

回答が、罰を用いる旨を簡単に持ち出すようであれば、やめておきましょう。
どうしようもない場合は、叱るのも必要・・・というような回答も、お勧めしません。

環境を整える、という旨の回答であれば、良いトレーナーかもしれません。
また、きちんと行動について言及できることも、判断基準になります。

この子はずる賢い
悪いってわかっている
おやつもらえるってわかっている

などのセリフは、犬にラベルを貼って考えている証拠です。ラベルから導き出される手法は、犬に迷惑をかけるので、そのようなトレーナーも避けたいところです。

トリマーさん選び

トリミングサロンを選ぶ際も、同じようなことが言えます。

可愛く綺麗にすることを優先しているようであれば、その最中の犬の苦痛は軽視されるかもしれません。

犬の苦痛の緩和を優先するようであれば、もしかしたら、インスタ映えするようなカットにはならないかもしれません。

トリマーさんが大事にしていることと、飼い主さんが望むことが一致していることを確認できると良いと思います。

何を大事にしますか?

私の知り合いで、こんな方がいます。

  • 犬が引っ張ることで、首にダメージが加わるのが心配
  • おしゃれなハーネスがないから、首輪にリードをつけている

私からみたら、おしゃれを捨てて、犬の健康を第一に考えましょうよ、と思うのですが、その方の大事にしていることは、おしゃれなのです。

(ちなみに、私は、引っ張らないようにトレーニングできたとしても、首輪にリードをつけることはお勧めしていません。何かの拍子に犬が先に進んで、首に衝撃を与えてしまうかもしれないからです。)

その人が大事にしていることを、他人がとやかく言うことはできないと、私は考えています。

人によって考え方は違います。その人のセンスに見合ったハーネスが見つかることを祈るばかりです。

みなさんも、それぞれ大切にしている考えがあると思います。誰かの考えが正しいのではなく、みなさんは、みなさんの大切にしていることを明確にして、愛犬のためにどのような選択をすれば良いのか、判断していただけたらと思います。

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